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なるべく、ゆったり休んでほしいから。みんなのための憩いの場『お休み処 ふじの蔵』

“お休み処” という概念と存在を、結城の街ではじめて知りました。今回ご紹介するのは、結城駅から徒歩12分ほどの場所に位置する『お休み処 ふじの蔵』です。遥か昔、明治20年代に建てられたという蔵を利活用してつくられたこちらの施設を運営する斉藤さんに、“お休み処” としてのあり方の魅力や歴史、活用方法などをうかがいました。

11年前に『お休み処』となった、ひとつの古い古い蔵

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「クラシカル」といった表現をずっとずっと飛び越えてしまうかのごとく、重厚な雰囲気の佇まい。『お休み処 ふじの蔵』は、明治20年代に建てられた蔵を利活用してつくられた施設なのだそう。時代の空気をひしひしと感じさせるムードに、取材陣は思わず圧倒されてしまいました。いざ、中へ入ってみましょう。

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色濃く思い浮かべていた厳かなイメージは、入り口にて、良い意味で思い切り裏切られるのでした。陽の光に明るく照らされた歴史的資料も、『おひとつお口にどうぞ。楽しい一日になりますように』と書かれ入り口に用意されたのど飴も、ほっこりとさせてくれるようなあたたかさを帯びています。

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『いらっしゃい!』と声をかけてくださったのは、『お休み処 ふじの蔵』を運営していらっしゃる斉藤さん。なにやら27年ほど前に、こちらの「蔵」を住居兼お店として “利活用” し始めたのだそう。

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斉藤さん:ここに引っ越してきた当時、家族は洋品店を営んでいました。お店としても住居としても良さそうなこの蔵に目をつけて。ただ、「洋品店」というぐらいだから、蔵の和風なイメージをどうにか隠さなくてはならない。だからこそ、天井の梁(建物の荷重を支える、横向きに取り付けられた木材)の和風なイメージを隠すべく「天井」を張っていたんです。

そのおかげもあってか、立派な梁は当時のまま、とっても綺麗に保たれていました。

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斉藤さん:配線なんかも当時のままに残っていて。これはかなり珍しい形だと思います。11年前、この『お休み処 ふじの蔵』をオープンする際にその天井を剥がしたんですよね。今思えば、天井を張っていてよかったなぁ、なんて。また、鉄器や家具なんかも、引っ越してきた当時に使っていたものを今も使用しています。なかなかレトロな雰囲気で、ここに来てくれる方々からの評判も良いですよ。

そもそも、なぜこの「蔵」が “お休み処” へと変貌を遂げたのか。斉藤さんに聞いてみました。

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斉藤さん:もともと私は、それこそ洋品店として商売を行っていたのですが、その洋品店をたたんだ以降も、ここで呉服屋さんや婦人服店を営んでいました。が、11年前に商売を辞めようと思ったんですね。その際に、結城の商工観光課の方々とのお話を経て、こうした “お休み処” として変えてみようとなったんです。商売ではなく、ひとつの “場所” として。

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斉藤さん:ただ、単純な「お休み処」ではなく、街にまつわるさまざまなモノを展示するスペースも展開していて。こちらは結城市の『写真クラブ』の方々が撮影した写真たちですね。こういったものを飾ることで、たとえば観光でいらした方々がここに立ち寄った際など、結城の街をふんわりとも知ることができるようにしたんです。

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斉藤さん:『御手杵槍』というのは、室町時代に下総国結城の大名・結城晴朝がつくったもの。結城由来のモチーフとして、1999年に複製したモノですね。このスペースに置いたのは、約6年ほど前。オンラインゲーム『刀剣乱舞』のキャラクターに、『御手杵』という、まさにこの槍を擬人化したキャラクターがいるのですが、そのキャラの人気もあって当時はたくさんの方がこのスペースに来てくれました。模擬刀や着物などを用意し、ここで撮影会なんかもしていたぐらいだったんですよ。

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斉藤さん:ただ、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、昨年からは観光で結城に来てくれる方々の数がグッと減ったんです。当時は大阪や九州、北海道など、さまざまな場所から来てくださっていた観光客が、ゼロになってしまいました。

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斉藤さん:今も予断を許さない状況が続いていますが、やはりもっともっとたくさんの方々に結城の街を楽しんでいただきたいですし、結城に立ち寄った際には、ぜひ『お休み処 ふじの蔵』にも寄っていただけたらなぁと思います。きっと、なるべくゆったりと休んでいただきたい。憩いの場として、また、結城の情報をゆるりと発信する場所として、楽しんでいただけたらうれしいですね。

【ふじの蔵 インフォメーション】
〒307-0001 茨城県結城市結城71
※JR水戸線「結城駅」より、徒歩約10分
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