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糸と糸を結うように、つながって、はたらいて、はぐくんで。築90年以上の呉服店を利活用したシェアスペース『Coworking & Cafe yuinowa』

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 『仕事をする、くつろぐ、学ぶ、参加する』をテーマに、人と人が出会って結ばれ繋がるための拠点を目指すシェアスペース『yuinowa』結城の街に集うさまざまな方々の “ハブ” として、数々の健やかなつながりを生み出しています。

 築90年以上の呉服屋さんをリノベーションし利活用しているという『yuinowa』とは、はたしてどのようなスペースなのか。どんなポイントが人々を惹きつけているのか。ここでは、そんな『Coworking & Cafe yuinowa』の魅力にせまります。

10年間空き家だった「呉服屋」を、コミュニティの拠点に

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 爽やかな光が降り注ぐ、明るげで広々とした内装。中央には無料で使用できるというカフェラウンジがあり、モダンで穏やかなムードが感じられるインテリアが並んでいます。正直、「築90年以上」とは思えないほどクリーンなイメージ。

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 ただ、細部をよくよく見てみれば、そこにはしっかりレトロな名残が漂っています。こちらは呉服店として90年以上前から使われていた「帳場机(今でいうところのレジ)」とのこと。しっかりフィットしているから不思議ですよね。昔使われていた物の確かな息吹が感じられます。

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野口純一 さん 結城商工会議所 経営指導員・株式会社TMO結城
1979年生まれ、茨城県古河市出身。大学卒業後(大東文化大・経営学)、都内アパレル企業での5年間の勤務を経て、2008年に結城市商工会議所に就職。「結いプロジェクト」を立ち上げ、株式会社TMO結城の事務局として市の地域活性化を牽引する。自身が好きな音楽やファッション、サブカルチャーの要素を取り入れた企画で、伝統の街・結城市に新しい風を吹き込む仕掛け人。


 『オープン当初はとにかく物が多くて苦労しましたが、やっぱり “利活用” と言うぐらいだから、昔使われていた物はしっかり残したくて』と話すのは、結城市の商工会議所で職員として勤め、『Coworking & Cafe yuinowa』の創業メンバーでもある野口さん。

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 『コンセプトとしては、「街と人が繋がる “結び目”」ということを意識しています。街の名前の「結城」にも「結」の字が使われていますし。人と人、人と街が繋がっていける場を目指しているんです』

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 『それは、たとえばカフェスペースでお茶をする際なんかもそうですね。地元のおばあちゃんたちもよく来てくださるし、近隣でお店をやっている方々が来てくれることもある。学生の子たちが来てくれることも。様々な方々が繋がる “結び目” でありたいと思っています。ちなみにこのカフェは、チャレンジスペースとしてみなさんに貸し出していて。将来お店を持ちたい人の背中を押しながら、同時に地元の方々との関係性も作ってもらえたら良いですよね』と話す、野口さん。

 彼が話す内容を聞いて、ここはきっと「人種」も「世代」も、すべてを飛び越えていく場所なのだなぁと感じました。どんな方でも、健やかかつのびやかに繋がっていくことができる場所。いわば “やすらぎとくつろぎの空間” なのだなぁ、と。

「はたらく」・「学ぶ」・「参加する」が叶う場所として

 『ただ、もちろんそれだけじゃなくて』と続ける、野口さん。

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 『この場所には、コワーキングスペースとしての側面があって。座卓やテーブルを用意している「TOKO」という空間や、クリの木が生える庭に面したミーティングスペース「KURI」など、仕事場としての機能も果たせるように設計しているんです』

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 『また、二階には、全面畳張りの「TATAMI」というスペースも。ここでは、ライター育成講座や勉強会のような、ワークショップを開くことが多いですね。結城市の商工会議所から講師を呼んだり、外部の講師の方々をお呼びしたり。多種多様なイベントを行ってきました。yuinowaのテーマである「学ぶ」や「参加する」の部分ですね』と話してくれた野口さん。

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 「コワーキングスペース」を思わせないような、どこかあたたかでぬくもりあふれる雰囲気が感じられるのは、きっと古民家利活用の賜物なのでしょう。色が剥げてしまった机や桐のタンスを見ていると、なんだか心がホッと落ち着いてくるような。

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 『桐のタンスを置いたスペースは、「シェアオフィス」として月額会員の方へお貸ししています。まさに今から90年以上前、呉服屋としてこの建物が使われていた頃の象徴を残しているんですよ』というお話には、古き良きものを重んじ、大切に活用してきた結城の街が持つ気概が、ひしひしと感じられるようでした。

伝統と革新が、いま、yuinowaで交差する

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 人と人とをつなげ、人と街とをつなげ、結城の街にあふれんばかりの活気をもたらしている『Coworking & Cafe yuinowa』。そこには、野口さんのこんな想いが。

 『結城の街を盛り上げる企画として、「結いプロジェクト」というものがあって。ここyuinowaもその企画のうちのひとつなのですが、すべての根底には「結城の街で出会って、つながって、何か面白いことをやっていきたい」という想いがあるんです』

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 『高齢化が進む社会でも、伝統を大切にしながら面白いことを続けていければきっと、魅力は消えないはず。初年度は500人程度の参加者からスタートし、今では2万人を超える参加者が訪れる大人気イベントへと成長した「結い市」も、そのうちのひとつで。結城の歴史的な街並みを背景にした上で、結城で暮らすさまざまな人と地場産業(モノ)を結んでいくためのイベントです』

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 『昔から結城で商売を続けている15軒ものお店に “アートのれん” を飾った「結いのれん」の取り組みも同じく。“商いの街” としての結城に並ぶお店の「のれん」に目をつけ、それらとアートを掛け合わせることで、街に新たな風を吹かせられたらと思いスタートしました』

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  『同じく、街全体で表現する音楽フェス・「結いのおと(2020年にも継続開催)」もそうですね。お寺をライブハウスとして使ったり、道路の交差点をライブ会場にしたり。これらはすべて、歴史や伝統を重んじる心があってこそですし、それは結城の街らしさでもあると思います。古いものをすっかり変えてしまうのではなく、ちゃんと活かす。その上で、ちゃんと結城の街を盛り上げていきたいですね』

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 伝統的なものに対するリスペクトの気持ちを忘れず、その上で、新たなことを積極的におこなっていく。それはいわば、“歴史と革新の出逢い” とも表現できるはず。それは、人と人を繋げるだけでなく、人と街を繋げるだけでなく、伝統と革新をも繋げていくということ。『みんなの「やりたい!」を叶えていきたいし、みんなを巻き込んでいきたい』と話す野口さんの目は、熱い情熱にめらめらと燃えているようでした。

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 結城市の魅力である「ヒト・コト・モノ」の魅力がぎゅっと詰まった『Coworking & Cafe yuinowa』には、きっと、あなたの暮らしを豊かにするような素敵な出会いが待っているでしょう。古民家利活用のヒント、ひいては、結城の街での暮らし方・新たなチャンスに出会うための大きなヒントが見つかるかもしれません。人と人とが糸のように結われてゆく結城の街を、ここ『Coworking & Cafe yuinowa』を拠点にぜひお楽しみくださいね。


【取材先情報】
『Coworking & Cafe yuinowa』
〒307-0001 茨城県結城市結城183 / 0296-47-5680
http://yuinowa.jp/